


世界でいちばん美しい景色のはなし
作/中村しげき 画/清水麻里
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星の王子さまをはじめて読んだときのような、
独特の宇宙観と文章、それにマッチした挿絵。
読者の手紙より
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美しい景色が存在する理由と、あなた自身が存在する理由は、同じもの‥‥。生まれる前から、両親にはなしかけるような“ふしぎ”な子だったぼく。大人になり、本当に美しい景色をさがす旅に出た。総96ページ/B6版/ハードカバー
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ま え が き
ある本に、
「写真家は、ほんとうに美しい景色を見たとき、写真をとらない」
という一節がありました。
もちろん、すべての写真家がそうだとはかぎらないでしょうが、ただ、写真家ではない僕も、なぜだか、この意味がよくわかりました。
というのも、僕が本当に美しい景色とでくわしたあのとき、カメラを持っていなかったのですが、たぶん持っていたとしても、シャッターをきらなかったと思うからです。景色を前にして、アタマがからっぽになっていたはずが、ふいに浮かんできたのは、母と父にかわるがわる抱きかかえられていた、幼い頃の記憶で、こんな美しい景色が存在する理由と、僕自身が存在する理由が、同じもののような気がしたからです。
僕は、この世界に、永遠に記録されている存在だったのだとわかったのです。
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店主のつぶやき
この本を読んだ時、時間は止まり、今までの記憶の全てが風のように
私の髪の毛を撫で、頬をなでて駆け抜けて行くような感覚になりました。愛おしく美しい景色の中に全身がすっぽり入ってしまったような感覚でした。